「今日は来てくれてありがとう」と、新聞を読んでいるところへ声をかけた。
「どういたしまして。僕こそこれがきっかけで、久しぶりにマルセイユに改めて来れて嬉しいよ」
ジャンジャックは、バスで一時間くらいの両親の家に今は滞在しているが、昔はマルセイユに住んでいたのだそうだ。
ジャンジャックは人の良い英語を話す。マリコさんが言っていたように、少し声が上ずるかもしれない。ジャンジャックは素朴でと朴訥としている。何か、東北の人間を思わせる。新沼謙治とか?(すみません、マリコさん!)山の中のきこりが話しそうな英語だ。
「あなたフィリップ・トルシエに似ている。」と、わたしは思っていたことを言った。
「そう?日本人によく言われるんだ。僕はそうは思わないけど。目かな?」
「そうかも」
「日本でW杯があったとき、僕は大阪に住んでいたんだ。夜にカフェに座っていると、サポーターがやってきて、アーユーフィリップトルシエ?て聞いてきてサインを求めるんだよ。」
「そんなにも似てると思われたのね。」
「トルシエはマルセイユの監督もしていたろう。そのときの新聞と僕の顔を母が見比べたけど、どこが似てるのかしら?似てないわね、って不思議に思っていたようだったよ。」
うーん、やはり他の人種に対して、似てる似てない、の判断基準が違うのかもしれない。また、他の人種の顔って、見慣れないと全部同じに見えるようだ。わたしも昔はそうだった。ま、とにかく皆さんには、フィリップ・トルシエをジャンジャックに置き換えてもらえばうまくイメージできるだろう。