3人で、サン・ヴィクトール寺院へ向かった。正式名称は、サン・ヴィクトール・バジリカ。5世紀に聖カシアヌスによって地下の聖堂は作られた。彼は、エジプトの修道院生活の賛美者らしく、この信仰生活を南フランスに再現したかったのかもしれない。ここには、黒い聖母があり、数多くの隠者が世界中から集まってきたらしい。
サン・ヴィクトールは、カモワンタロットを扱う者の聖地であり、女神信仰者の聖地である。カモワンタロットを学び、その教職を志す者は、この寺院を必ず訪れることになるのだ。
住宅地の坂道を登っていく。すると、サン・ヴィクトールの四角の頭がちらちら見えてくる。海を挟んで、右手に白い石灰質の山が見える。
「おお、月のカード!!」
そう、カモワンの「月」のカードは、マルセイユの風景であり、その建物はサン・ヴィクトールなのだ。カモワンタロットを作った賢者は、サン・ヴィクトールに存在する何かを知っていて、カードの象徴としたのだ。
この二つの塔の間に、満月が浮かび、対岸から眺めれば、まさしく「月」のカードだ。
思ったより大きい・・・・。この晴天の最中、寺院は涼しげに見える。入り口に向かうと、物乞いがいたが、無視して中へ入った。